「え…?いいよ別に、もう遅いし帰りなよ。」

「遅いから送っていくんじゃん」

あんなに居心地が悪い空気はもうたくさんだ

「じゃぁ、部活帰りで疲れてるし、汗ベタベタで気持ち悪いでしょ?大丈夫!私は!なんなら、ここから全力疾走で家まで帰るから」

必死で樹とここで別れる理由を考えた

まだ心配そうに私を見つめる樹

こうなればもう強行突破だ

ちょうど青信号になっていたので走って渡り向こう側につくと大きく樹に向かって手を振った

樹が手を振り返すか、追いかけてくるか、確認する時間ももったいない

私は進行方向にくるりと体を戻し、走り出した

少し走ったところで後ろを確認した

樹はいない。

諦めてやっと帰ったようだった

私は走る足を止め上がった息を整えた

そして私はまたすぐ家へと歩き出した