「キャプテーン!このアホバッテリーがちゃんとストレッチしてませーん!」

私は大声でキャプテンに言った

アホの所は小さく誰にも聞こえないように言った

「奈緒!バカ…」

将太が言い切らないうちにキャプテンがすごい形相でこちらに向かってきた

私は小さくアカンベーをして仕事に戻った

キャプテンに怒鳴られながらストレッチをようやく終えた樹たちは

キャッチボールを始めた

将太はまだ私をチラチラ見てはぶつぶつ言いながら投げている

樹はそれを見てなだめるように笑ってキャッチボールを続けていた

やっと仕事が一段落した私はキャッチボールを見ていた

青い空に、汚れが落ちきっていない練習着、みんなそれぞれに声を出して、少し土のついたボールを投げ合っている

私も声を出し練習を盛り立てた

部員はキャッチボールだけですぐに汗をにじませた

もう長袖をきている人はほとんどいない

髪の毛が長かった人も短くなり

夏を意識しているのだと気づいた

私も暑い夏が近いのだと再認識し

なんとも言えないこの気持ちを吐き出すように

また声を出した