すべてのコップを洗い終わった私は、コップ入れのカゴにそれらを入れ

右手に何キロもあるタンク、左手に十数個のコップが入ったカゴというアンバランスな状態で歩きだした

私が部室を出る頃には、部員はストレッチを始めていた

歩くスピードをあげると、チャプチャプとタンクは涼しい音をたてた

私がやっとグラウンドに着くとストレッチをしている樹が話しかけた

「今日はどうしたの?いつもより遅いじゃん」

ちょっとね、と忙しく動きながら私は答えた

「授業からホームルームまでずっとお昼寝してたんだよな」

ニヤニヤしながら、樹の近くでストレッチをしていた将太が口を出した

将太にだけはそんなこと言われたくなかったが、今日がこの程度の遅刻で済んだのは将太のおかげ、そう言い聞かせて、私は反論はしなかった

「へー」

樹が私を見ながらニヤリと笑った

「しかもな、あいつ、自分寝てたのに、遅刻を俺のせいにしようとしたんだぜ」

私が何も言わないので調子に乗った将太が、言った

これには私もカチンときた

クルッと向きを変え、キャプテンの方を向いた