ウロウロと店内を回って奥にあるグランドピアノが目に入った。




楽器屋だからあるのは当然だけど出来ればあまり見たくなかった…




鍵盤に指を乗せ弾くと調律がしっかり出来ているようで綺麗な調和音が響いた。

吸い寄せられるように鍵盤に指を走らせる



指が勝手に動くのは体にその動きがしみこんでるから…


こうなると一曲弾き終わるまで止まらない。


変な体…


心とは裏腹に指先は止まることを知らない



パチパチパチ─…



ようやく指が止まったところ背後から拍手が聞こえ思わず振り返る


笑顔で手を叩き続ける彼女はセミロングに白いワンピースの綺麗な女性だったた。


「凄いわ…あそこまで完璧なラフマニーノフを弾けるなんて☆」




「ごめんなさい!商品に勝手にさわっちゃっていいピアノですねι」


すると彼女は私の顔を凝視した。


やっぱ怒ってる?そうだよね高そうだしこのグランドピアノι


少し考えこむような顔をした彼女は思い付いたように大きな目をさらに見開いた。