そんな訳で俺は今、街中に出ている。


さすがにホストクラブに住んでいるとなると、その近所も、それなりにいかがわしい店舗が並んでいる。

そして、街中を歩く人間も…、

まあ、人間に興味が無い俺にとって、そんなこと関係ないのだが。



「はあ…中学生をこんな街中に出すんじゃねーっての……」

まじで何考えてんだか、あの店長は。


歩いて10分くらいの場所にあるコンビニに入り、ハンバーガーを探す。

「…………、」

やはり最近のコンビニは品揃えが良い。

ハンバーガーだけで5種類くらい置いてある。


…さて、どれにするか。

店長から預かった金は500円。

ハンバーガーは、1番安いもので150円、高いもので190円(てりやきバーガーだ)。

そんなに大差は無い。

面倒くさくなったので、150円の普通のハンバーガー(マクドナルドなら100円マックの部類に入りそうなバーガーだ)を、500円分、つまり3つ買うことにした。

レジに向かい、カゴを置く。

が、いつまでたっても店員が顔を出す様子は無い

「………レジ」

俺が、少し声を大にしてそう言えば、だるそうに若くて化粧しすぎの店員がでてきた。

「はぁーい…いらっしゃいませ〜」

「ん」

ハンバーガーを3つほうり込んであるカゴを、ずい、と突き出す。

「えーっとお、150円が、いち、に、さん点でぇ、……450円ですー」

「………」

その女のトロくささにイラついた俺は、今度は無言で500円を弾いた。

「…50円のお釣りですありがとうございましたー」

「おい、暖めるかどうかは聞かねえのかよ」

「……………暖めますか」

「お願いします」

最後にだけ敬語を使ってやった俺を尻目に、女はハンバーガーを3つ取り上げてレンジにほうり込んで暖め始めた。


ガーーー……

「…………………」

「…………………」

レンジの音をBGMに、俺達は互いに睨み合っている。

チーン


空気を読めないレンジが、間抜けな音を立てた。