「クレイジー?いるか?」

ふいに、引き戸の向こうから店長の声が聞こえた。


「…おう。入れよ」

そう言うと同時、いや1テンポ早くそいつは引き戸を勢いよく開けた

「おー。相変わらずクッサイ部屋だなー。江戸時代を生きたばあちゃんの部屋と同じ臭いだ」

「………バーカ」

「なんだよお前。機嫌わりぃの?つか部屋の換気ちゃんとやってんのか?」

「やってるっつーの。だいたいこんな臭い部屋を俺に押し付けたのはテメーだろうが」

「押し付けたって、んな聞こえの悪い言い方すんなよ〜部屋貸してやってんだからさ」

「……んで、何の用事だよ」

「(話逸らしたな)いや…ちょっと頼み事があんだけど」

「?」

「…コンビニまでひとっ走り行ってく「自分で行けバーカ」

「即答はないでしょクレイジー!」

「即答して当たり前だ。俺をパシらせんな。」

「頼むよ〜」

「いやだ。ていうかお前さっきゆっくり休めって言ったばっかだろーが」

「そういうなって!頼む!この通り!」

そう言いながら手と顔を床に付けて土下座しだすもんだから、思わず俺は言ってしまった。

「〜〜ッ!わーったよ!!行きゃあいいんだろ行けば!」

「おっ!さすがクレイジー!んじゃ頼むわ!」

「………」

すぐにヘラッと顔を上げたそいつの顔面を、激しく俺は飛び蹴りしたい衝動に襲われた


「で?何買ってくりゃあいいの?」

「ハンバーガー。急に食べたくなっちまってさ。」

「……………」

「あ、店員さんにレンジでチンしてもらってくれ。」


……やっぱ断りゃよかった……