あれから1週間。

佐々木は、俺が学校に来るたび、俺に絡んできた。

「橘くん学校毎日来ないんだねえ」

「…………」

「私なんか毎日来てるよ!!偉いでしょ」

「遅刻常習犯が何えばってやがる」


まあ、別に、こいつに絡まれることは問題じゃない。

問題は

「あ、あの……た、橘、くん」

「……………」

他のやつらまで俺に話しかけて来るようになったことだ。

「あ、田辺さん、おはよー!」

「おはよう佐々木さん。」

「橘くん、田辺さんが呼んでる」

「………何?」

「えと、来週の文化祭の費用で、クラスの皆に一人300円集めてるんだ……」

「………」

「い、いつでもいいから、300円、できたら欲しいなあって……」

「ん。」

おどおどと喋る田辺とか言う女子に、たまたまポケットに入ってた300円を突き付けた。

「あっ、あ、ありがとう!」

田辺は素早く受け取って、女子の輪の中へ逃げて行った。


「なんで橘くんって、そんなにつんけんしてるの?夜だと、女の子にだって優しくできるのに」

「俺だって好きで女に優しくしてるわけじゃねえよ。」

「でもさ、あとちょっと、学校でもノリが良かったら、友達もできると思うんだけどなあ」

「…俺、別に、友達いらねえから」

「そっかあ……ねえ、あのさ、」
「若葉ーっ」

佐々木の友達の声が聞こえた。

「あ、呼んでる……ちょっと行って来るね」

「別に戻って来なくていいぞ」

そう言ったのに、5分もするとそいつは戻ってきた。

「ただいま~」

「……………」

「ねえ、橘くんってどこの高校受けるの?」

「は?なんで急にそんなこと聞くんだよ」

「や、今さっき聞きかけたんだ。」

「…お前、高校行くのかよ?」

「行くよー。店長が行きなさいって。」

「ふーん」

「橘くん行かないの?」

「行くわけねーだろ…」

店長だって、俺が中学卒業して、俺のことこき使うのを楽しみにしてんのに。