「啓太!」

屋上でのんびりと読者をしている彼。

「どうしたの茅衣?そんなに急いで。」

口調も相変わらずのんびりだ。

「南高行くって、本当?」
あたしは彼の腕を掴み、息を切らしながら聞いた。

「本当だよ。」

夏の爽やかな風が2人の間を通り抜けた。
あたしの大切なものをさらっていくように。

お願い、連れていかないで。
あたしの大切な人を、連れていかないで…。