「おーい、バカ茅衣!
お前今度、ライブやるんだって〜?」

休み時間に音楽雑誌を読んでいると、真央が話しかけてきた。

「うん。すごいでしょ!」
えっへん、と胸を張ってみせる。

「でもお前、声裏返るんじゃね?白雪姫のときみたいに。」

「う、うるさい!」

「あのときはマジでうけたよ!せっかくの決め台詞で…。」

「あー!もう黙れ!」

あのとき、というのは小学校六年生の学芸会のとき。あたしのクラスは、劇で白雪姫をやった。
そして何故か、あたしは魔女役。
結構重要なんだよね。なんたって、白雪姫に毒りんごを食べさせるんだから!
(白雪姫は舞だった…。)

当日、あたしはガッチガチに緊張して、大事なシーンで声が変に裏返ってしまったのだ。
おかげで場の雰囲気も壊してしまった…。
つまり、あたしは極度の恥ずかしがり屋さんてなワケ。

でも、今度のライブは失敗出来ない。
小さなライブだけど、成功したら、地元でちょっとは有名になれるかもしれないのだ!
とにかく今は、ライブに向けて練習あるのみ!
頑張るぞー!