いつものように、雑談していると、宙人が言った。

「なぁ、茅衣。お前ボイストレーニングやってみたら?正しい呼吸法とか知ってたらいーじゃん。声量も変わってくるしな。」

「うん。実はあたしも、そゆこと考えてたんだよね。もっと歌うまくなりたいなぁ〜って…」

えへへ、と笑うあたし。
亜希が、えらい!とあたしの頭をガシガシ撫でてくる。
最初は自分にボーカルが出来るだろかと心配だったけど、バンドを始めてから毎日が楽しくなった。
集まれる人だけで、おしゃべりしながら練習する。そんなマイペースな時間があたしは好きだった。

「ライブとかやりてぇーよな。」

俊平がボソッとつぶやいた。

「うん、やりたい。」

真剣な顔で夏波がうなずく。

「せっかく5人集まったんだし、いつまでものーんびりやってたって、バンドの意味ないじゃん!茅衣がボイトレ始めるなら、うちらも本気でやろうよ!」

見たことのない熱い夏波に、みんなただ圧倒されていた。

「…あたしもライブやりたい。みんなの前で歌いたい!」

ガタッと席を立ち、宣言する。

「俺も。」

「ウチも!」

「しゃーねぇな。」

にかっと笑い、互いに手を前へ突き出す。

「ライブに向けて、再始動!!」