「さっ、乗ってください。」 理事長が、 開けてくれたのは、 助手席のドア…だった。 「助手席…ですか?」 「婚約者なんですから、 当然ではありませんか?」 「偽装婚約者ですけどね(笑)」 「とりあえず、どうぞ。」 「はい。」 私は、助手席に座った。 理事長が、運転席に座ると、 「理事長、 どこに、行かれるのですか?」 「秘密です。 それより、その理事長っての、 辞めませんか?」 「では、なんとお呼びすれば…」 「名前で、 呼んでください。」 「名前…ですか…」