泣けてきた。


苦しい、苦しい、


悔しい。


泣くはずなんかじゃなかったのに。


あーあ。
あの人みたいに、
ナオの胸で泣けたらな、なんて
思う私は相当イってんのか、



ナオはきっと。


一生、知る事のない涙。


ナオは私に、居場所をくれたけど。


そこは想像以上に痛かった。


気づいた時には、
もう。
遅かったけれど、


鳴り続ける着信音を、
私は何度、無視したのだろう。


嫌な訳じゃない。


ただ、少し気にして欲しかっただけ。


「もしもし・・・・」


『みー?何で出ぇへんの?』


「具合悪くて、」


口からは、スラスラと嘘が出てくる。


『そーなん?今から来れる?』


“大丈夫?”

何て言葉もないんだ。


「・・・・・・」


『みー?』


「死にたい。」


今のは、今までで一番、本音に近かったかもしれない。



『・・・・そんなん、言わんでよ』


「何で?」


『俺まで死んでしまう・・・』


私の代わり何ていくらでも居るくせに。


どうして、


そんな事言うの?


「今から行く・・・」


なのにどうして、


体はナオを求めるの。



神様は、


私にどこまで堕ちろというの。


きっともう、戻れない。


離れる事は出来ない。


「おかえり、」


笑顔で迎えるナオが居る限り、


「ただいま、」


笑顔の私は居なくならなくて。