へらへらと笑うあたしに対して、翼は仏頂面。



「……絢……」

「なにっ?」

「周りみてみ」



そう言って翼がぐるっと教室を見渡す。

あたしも同じようにやると、あることに気づいた。



「……なんか、見られてるね」



さっきから感じる視線。

男女共々、こっちをちらちらと観察している。



あたしが首をかしげると同時に、翼が意地悪く笑った。




「実はなー……」




――だけど翼のその言葉は、



ガンッ!! ていう教室の扉の音にさえぎられた。