藤岡くんはまだいなくて、 あたしは刺さる視線に首をかしげながら翼のところへむかう。 「翼、おはよ!!」 背中に挨拶を投げかけると、翼は笑顔でふりむいた。 「お、絢。はよ」 翼に早く報告したくてたまらない。 『藤岡くんとつきあうことになったよ』って。 あたしは席に座った。 「えと、つ、翼、あのね」 覚悟をきめて、言おうとしたら 「あー……藤岡とつきあうんだろ?」 って、かわりに言われてしまった。