――そして、やっと。
「藤岡くんの家……」
前に来た右京さんの大きな家の真隣にありました藤岡くんの家。
テンションあがって無意味にキョロキョロしてしまいます。
ていうかじっとしてられません。
そんな感じであたしが落ち着きなくソワソワとしていると、藤岡くんに軽く頭をたたかれた。
「ちったぁ落ち着け」
あきれたように言われたけど、無理。
男の人の家にひとりでお邪魔するの初めてなんだもん。
緊張もするってもんで。
藤岡くんが鍵をあけてドアを開く。
玄関に入ってローファー脱いで揃えてると、スニーカーを脱ぎ捨てた藤岡くんがあたしに声をかけた。
「俺の部屋、階段上がって左の奥な。
コーヒー、紅茶、ココアどれだ?」
一瞬なに言われてるのかわからなかったけど、お茶いれてくれるんだと理解して、
「甘いココアッ」
と、反射的に答えていた。