篁さんがうなだれるあたしの髪をなでる。
指先で耳の後ろを掻くから、くすぐったくなって身をよじると薄く笑った。
「……ま、アイツにいい経験させてくれてありがとね絢ちゃん。
初恋初失恋で、ワガママなガキからちょっと大人になれたと思うから」
そしてあたしの頭を2回たたいて、藤岡くんに視線をむけた。
「ってことで、」
手でピストルを作って藤岡くんを打つ。
「藤岡くんは、絢ちゃん大事にするんだよー?」
そう言って篁さんが藤岡くんを試すように笑うと、
藤岡くんはあたしの肩引き寄せて、言った。
「言われなくても、気持ち悪くなるくらい甘やかしてやるつもりだっつの」
その照れなんて感じさせない口調に、なぜかあたしが照れくさくなった。