「翼……右京さんとなにかあったのかな」
「……知らねぇ。アイツは普通だったけどな。とりあえず一応メール送っとく。
『誰が行くか馬鹿野郎』……と」
楽しげにメールをうつ藤岡くん……どうやら右京さんに対する嫌がらせのようです。
そして藤岡くんはケータイをいじりながら黒いスクールバッグを翼のように背負う。
「……うし。行くか」
メール送り終えてケータイを閉じると、持っていたマフラーをあたしの首に巻いてくれた。
「え。これ藤岡くんの……」
「貸してやる」
確かにあたしマフラーない、けど……。
これじゃ藤岡くんが寒いよ。
「い……いいの?」
戸惑いの視線をむけると、返事の代わりに手を握られた。
「別に俺はいいから。遠慮すんな」
そしてそのまま手をひかれて、あたしは首に藤岡くんのマフラーを巻いたまま歩き出した。