そして残されるのは、一方的に会話を終了させられて呆然とするあたしたち。
「なんか……つかめねーヤツなんだな篁って」
「うん……たぶん、相当……」
いい人なんだけどね。
あたしが翼に苦笑いをすると、横から藤岡くんの手が伸びてきて甲でおでこを擦られる。
「へ……藤岡くん? なにかついてる?」
「……殺菌」
「菌?」
もしかして……篁くんのキス?
「だ、大丈夫だよそんなに気にしてな……」
「俺が気にしてんだよ」
ゴシゴシと念入りに拭かれて少し痛いけど、胸はあったかくなって顔には血がのぼっていく。
口元がニヤついた。
こういうの、やっぱり嬉しいな……。