そして――すばやく図書室から脱出して数分。




「絢の隣歩くなや色魔!!」

「誰が女タラシだ」




篁くんの怒りはおさまらないみたいです。




廊下で並んで歩いてても藤岡くんに突っかかって進まないし。

あたしをはさんでケンカしないでほしいなぁ……。




「つーか何キレてんだよオマエ」

「俺の目の前で斎が絢といちゃつくからやろ!!」

「別に……ただ教えてただけだろ」

「いまさら俺のもんアピールいらへんねん!! そのためだけに俺ンこと誘ったん!?

斎は俺が嫌いなんやろ!!」




篁くんがやけになったようにそう叫ぶと。





「……あ゛ぁ?」





低い声をあげて……藤岡くんの歩みが、止まった。