苦笑いするあたしに、藤岡くんはため息をひとつ。
それにビクッと肩を跳ねさせると、持っていたシャーペンでおでこを突かれた。
「……も一回、言ってやる」
どう聞いても呆れ口調だったけど、やっぱり藤岡くんは優しいなぁと再確認して、
「うんっ」
あたしはしまりのない顔でうなずいた。
「……ニヤニヤしてんじゃねえ」
「えー、だって嬉しいから」
「相変わらず意味わかんねぇな。ちゃんと聞いとけよ」
「うん!!」
そして、藤岡くんがまた説明を始めたそのとき。
「バキッ」っていう破壊音と共に、
「なんやねん!! 斎のアホーッッ!!」
篁くんの怒鳴り声が静かな図書室に響いた。