そして。
悩みながらも手は動いている篁くんに対し、あたしはまったく動けない。
いくら考えてもわかんないからたぶんもう無理。自力じゃ解けない。
「ふ……藤岡くん」
隣に座る藤岡くんの学ランの袖を引っ張って、ヘルプを要請する。
さっきから呼んでばっかりなのに、藤岡くんは嫌なカオひとつしないであたしの問題集覗いてくれた。
「どこ」
「問2……です」
「あーこれ、こっちの類題と同じだから。とりあえずコレこうして……」
スラスラと直接書き込みながら教えてくれる。
すごくわかりやすいし嬉しいんだけど……必然的に近くなる距離にやっぱり少し緊張するし。
あげくの果てに藤岡くんの横顔に見とれたりなんかしちゃって。
「……おい、聞いてんのか」
「あっ……え、は、はいっ!?」
「俺が説明したこと言ってみろ」
……。
「……す、すいません……」
結果こういうこと、しばしば。