別に、篁くんとあたしが気まずいからわざわざってわけでもない。
だって、
「なー絢も思わんー? 数学好き言えるなんておかしない?」
「あ、う、うん……」
……篁くん、いたって普通だから。
朝も笑顔でおはよーってあいさつしてくれたし、お昼だって前と同じように屋上で一緒だったし。
藤岡くんには自分から「絢にはフラレたわ」とか言っちゃうし。
何にもなかったみたいに“普通の友達”としてあたしに話しかけてくる。
「ほら斎、絢もおかしいって言うとるで」
「別におかしくていいから、おとなしく口じゃなく手を動かせ」
篁くんの手元を指差し、藤岡くんが冷たく言い放った。
それにぶつぶつ言いながらも、篁くんは問題集を解いていく。