藤岡くんが泣き続けるあたしの唇の両端に指を置いて、グイッと持ち上げる。 「おら、笑え」 思いっきり泣き顔なのに、ムリヤリ口を上げられるから、たぶん笑顔じゃなくて変顔にしか見えない。 「オマエはバカみてーに笑ってるほうが似合う」 なのに、藤岡くんが笑うから。 「だから、笑っとけ」 篁くんみたいなこと言って笑うから。 「……うん!!」 あたしは、藤岡くんの助けがなくても 自然に笑うことができた――。