ちょっと引き気味の目で篁くんを見上げていると、篁くんの漆黒の瞳がチラッとあたしを見た。

パキ、ボキという音が止む。




「あ……そういえば絢、この音嫌いやったよな。すまんすまん」




鳴らしていた手を合わせて、ごめんなさいのポーズ。

嫌いって……なんで知ってるんだろ。




「あたしそんなこと言った?」

「や、直接言われたわけやないけど。

中学ン時、授業中ボキボキボキボキ鳴らしてたらめっちゃイヤそうな顔でこっち見とったしー……あと、指太くなっちゃうよって遠回しに言われたこともあったなぁ」




そういえば、中学のとき篁くん指鳴らしがクセだったな。




でも……そんなこと言った記憶、ない。




記憶力のなさに少し落ち込むあたしに、篁くんは笑いながら手のひらを向けてくる。





「絢のおかげで指は正常や。止めさしてくれてありがとなー」





それを見ると、篁くんの言うとおり5本の指は関節部分だけ出っ張ったりしてなかった。




むしろ細くて長くて、ふつうのひとよりキレイなくらい。