「……え」




すでに確信しているような口調に、動揺を含んだ声を洩らしてしまった。

左手でにぎったケータイを落としそうになる。





「さっきっからチラチラとケータイ見てばっかやで。恋人からの連絡待っとるとしか思えへんわ。


……ちゅーことで、彼氏の話聞かしてやー。お互いのヒマつぶしにでも」





そう言ってニヤつきながら自分のケータイを振ってみせる櫂さんはすごく意地悪だと思った……。







「――へえ。

ほんなら、付き合いはじめたはええけど絢ちゃんの彼氏はシュンの暴走族時代の友達で、

絢ちゃんのこと好きなシュン戻ってきて気まずくてちょっと困るわーってカンジやんな?

しかも、昔は絢ちゃんもシュンのこと好きやったと。相思相愛やったと」

「は……はい……」




簡潔に説明すればそうなりますね。

私と篁くんの関係を把握した櫂さんはうんうん、と1人納得したようにうなずいた。




「なるほどなー。複雑なようなそうでもないような微妙なところやな」

「あたしにとっては充分複雑なんです……」

「ははっ、そーかそーか」




頭に手を置かれて、指の腹で掻くようになでられる。