あたしから手を離し、櫂さんは篁くんを見る。

そして口元だけの笑みを作って、篁くんのけっこうガッチリとした肩をつかんだ。




「ほなシュン。絢ちゃんにも会えたことやし満足やろ。行くで」

「……インタビュー嫌い」

「好きとか嫌いとか言える立場やないやろオマエは。仕事なんやからガマンせーや」




櫂さんは篁くんを引っ張るけど、篁くんはてことして動かない。

あげくの果てに、あたしを後ろから抱きしめて肩に顔を埋めてだんまりを決めこむ。

絶対に行かない気だ。

そんな態度の篁くんに櫂さんは小さくため息をついた。




「そーゆー計画的ワガママは違う時にせぇって、ほんましゃーないヤツやなーオマエ。


……てことで、絢ちゃん」




篁くんの肩をつかんでいた手を、今度はあたしの頭に置いて髪を撫でる。




そして、





「悪いんやけど、一緒来てや」





決定事項のように、ニコリと笑った。