――とか。
そんな昔の思い出にひたっている場合じゃなくて。
このパターンは、やばいでしょう。
……藤岡くんが来そうな予感がひしひしとします。
でも抵抗しようにも、あたしの両腕は篁くんによってがっちりホールド済みで動かせない。
だからといって身をよじったぐらいじゃ離してくれなさそうだし。
「た、篁くん離してくれませんか!!」
「んー、せめて斎くるまでー……」
「いますぐを希望したいんですが!!」
「却下で」
とか言ってるあいだに扉のむこうから足音が聞こえてきた。
続いて、取っ手に手をかけたわずかな振動が寄りかかった背中に伝わる。
そして、そういうことはつまり。
――扉が開けば、支えるものがなくなったあたしの体は必然的に篁くんごと倒れるわけで。