一瞬、耳を疑ってしまう。
だって藤岡くんが。
あの藤岡くんが。
あたしの誕生日なんか覚えていてくれるなんて信じられない。
「あー……ほらオマエ、俺ン時にコレくれたし。オマエのも祝ってやんねーとダメだろ」
そう言って耳の軟骨あたりについたスタンダードなシルバーのピアスを触る。
藤岡くんの誕生日に、あたしがあげたものだ。
『――藤岡くん、誕生日おめでとう!!』
『あ? ……ピアス?』
『けっこう悩んだんだけど結局普通のになっちゃった。えと、だから、気に入らなかったら使わなくていいからっ』
『や……いい。使う。サンキュ』
『っ!!』
『つか……オマエはいつだよ。誕生日』
『え、あたし?
あたしは、クリスマスイブだよー』
――確かに、そんな会話をしたけど。
本当に覚えててくれてるなんて思わなかった。