藤岡くんのこと照れさせてしまうたび、こうやって不意打ちに嬉しいことされたり、言われたりして。
単純に嬉しいし、いいんだけど。
……それが、倍返しだから困ります。
しかも笑顔のおまけつきで。
「心臓に悪い……」
「何が」
「藤岡くん」
「本当わけわかんねぇなオマエ」
また笑った。
なんだろう今日なにかいいことしたっけ。
なにかを代償にしないと見れないよ、藤岡くんのこんな本気の笑顔。
「へへ……」
つられるようにあたしも笑ってみれば、藤岡くんは色素のうすい目、見開いてあたしを見た。
藤岡くんの白い肌に映える赤は、見間違いだったかもしれないけど。
こうしたふたりだけの空間が、すごく
幸せだと思った。