そして――しばらくその赤い顔のままうつむいていた藤岡くんが、

突然ガバッと顔を上げた。




戸惑うようにあたしを見て、小さく口を開く。






「絢」






突如として呼ばれた名前に一瞬反応が遅れて、




「……え?」




その意味を理解するやいなや、全身が熱く火照っていく。

無意味に「え」やら「あ」やら言ったり、両手を縦にふったり、挙動不審を繰り返すあたし。






「……ンだそれ」






そして、そんなあたしの反応に満足したように、藤岡くんは笑みをこぼした。