移動した藤岡くんの姿を確認する前に、あたしの体に影が落ちる。 見上げると、頭上に広がっていた青空は、藤岡くんの顔で見えなくなっていた。 近くなった距離に驚いているあいだに 耳のすぐそばでカシャン、とフェンスに指をかける音がして。 逃げられない状況のなか、藤岡くんのキレイな顔が迫ってくる。 「……ッ」 そして―― あたしは、その挑戦的な瞳から目をそらせないまま 一瞬の、キスをした。