「あは、どーしたのいっくん」



藤岡くんの迫力に、誰も言葉を発せないなか、
いつも通りに笑える右京さんはやっぱりすごいと思った。

だけど、藤岡くんから返ってきたのは、



「あ゙?」



と、あからさまに濁りのまじった母音のみで。

あたしに言われてるんじゃないってわかってても少し怖い。



「何かあった? 机なんか蹴っちゃって」

「……なんでもねぇよ。話しかけんな変態」

「えー……俺、変態? なんで?」



右京さんの含みのあるニヤニヤ笑いに藤岡くんが本格的にキレ始めているのがわかった。

床とお友達になってしまった机を更に蹴る。



そしてこっちを見て、あたしと目が合うと、目を細める。

それが睨まれているようにも見えて、肩がビクッと上がった。