大きな音をたててしまったことに対してなのか、舌打ちをしながら教室に入ってきたのは、藤岡くん。

こっちに視線をむけるから、バチッと目が合ってしまう。

その瞬間、あたしの顔はこれでもかってくらい赤くなった。



藤岡くんはこっちに向かってくる。

隣の席に座ると、あたしのほうに一瞬だけ目をむけて、すぐそらした。

そして、



「……はよ」



照れたように頭をかきながらの挨拶。



「お……おはようっ」



それがなんだか無性にかわいく見えて、ニヤけながら挨拶を返した。

すると藤岡くんは眉をよせて、あたしを見る。



「ニヤけてんじゃねぇよ馬鹿」



コツンと額を小突かれて、

それが恋人同士みたいであたしはまたニヤけた。