囁くように

「陽…」
と呼ぶのはキスの合図。
恋人になってから甘い時間があるようになった

『…んッ』

溶けてしまうんじゃないかってぐらい優しく悠翔はあたしにキスをする。

「陽…可愛い」

でも、
悠翔はキス以上はしない



『ハァ、ハァ…』

「そんな激しくしてないじゃん」
余裕そうに笑う姿が悔しくて無意識に


『悠翔…なんか慣れてる?』

とポツリと呟いた言葉に真っ青になる悠翔。


『悠翔?』

「お、俺…帰るわ! うん。もう遅いしな?! じゃ、じゃあ~明日な」
明らかに挙動不審……

『余計に気になる』

そそくさと家を出る姿を横目で見ながら呟いた。

隠されると知りたくなる人間の性――…