『ちょっと、やだ…やめてよ。悠翔を傷付けないで』

「駄目だよ。僕から陽を奪うヤツは潰してあげる」

『お願い、海…やめて』

「大丈夫。陽は騙されてるんだよ…僕が救ってあげる」
海の唇が近付いてくる――







「陽~?」






あたしを呼ぶ愛しい声


『悠翔ッ!!』
あたしは震える声で叫ぶと

海は少し寂しそうな顔を残し…あたしの手首を離して、足早に体育館に行った。



「陽?! どこ?」

『階段裏の下』

「はぁ?!」

バタバタと走る音があたしに近づくたびに安心感を感じた。


「なんてとこ居るんだよ!! すっげー探した」

『ごめんなさい』

「まぁ、陽が無事でよかったよ」


あたしは悠翔のもとに走って抱き付いた。
驚きすぎて悠翔は固まってしまっている…

『………』

少し震えているのを感じとった悠翔はあたしの背中を包んだ。

「どうした? 恐かったのか?」

小さく頷いたあたしを
…きっと悠翔は一人でいるのが恐かったんだと思ってるんだろうけど





「俺がいるから大丈夫」



その言葉があたしの恐怖を取り払ってくれた。