「てゆうか、“海”って……知り合いなのか?」

『…うん。お兄ちゃん、かな?』

「マジで?! 全然似てねぇな」

『血は繋がってないからね』

「……そうか、悪い」

『別に。謝る事じゃないよ』
それっきり准は黙ってしまった。

――そう、
海はあたしの兄。
あたしを養子に貰ってくれた…多岐家の息子

同い年だったけどあたしより誕生日が2ヵ月早い兄。

そして、
あたしを妹じゃなく女と見ている―…



多岐家の両親は養子のあたしを大切に娘のように育ててくれた。
でも4ヵ月前にあたしは海に襲われそうになる…
それが両親にバレた海は
“陽が誘惑してきた”
と言った。
もちろん、実の息子の方を持つに決まってる……

あたしは
“両親の転勤”って事でここに追い出された。


――海と目が合う
あの、あたしを見つめる目が…
嫌いだ。