その剣夜の甘い声にビックリして上手く声が出なくて…ただ首を横に振る。

「悠翔と何かあったのか?」

……悠翔と聞いた瞬間に涙が溢れてきた。
その瞬間、
何だか妙に冷静なもう一人のあたしがいて
“悠翔が好きなんだよ…だから辛いんだ”なんて余計な言葉であたしの心をえぐる。

また昔の記憶が蘇る……
小さい時からあたしからお母さんを奪ったヤツが許せなかった。

『そいつが現れなかったら、お母さんはあたしの側にいたのに』

って何度思ったんだろう…


だから、あたしはその“そいつ”が悠翔だったことがショックで…
《大好きな人》があたしの《大好きだった人》を奪ったってゆう現実を

『もう終わったことだよ』

なんて悠翔に言って受け止める程あたしは強くなくて…


ただ苦しい。