――5年前

「陽?」

『なぁに? お母さん』

「あのね、お母さん再婚するのよ。やっと幸せになれるの」

…女手一つであたしを8歳まで育ててくれた、お母さんは
若くしてあたしを身ごもった。
お父さんは誰か分からないらしい…そんな望まれなく産まれた、あたしを愛せなかったのだろうか?

「陽はどうしてお母さんの所に産まれてきたの」と聞いてきたのを良く覚えている。

小さい時にすごく泣き虫だったあたしに…いつも「泣かない強い子になりなさい」「頑張れ」と苺ミルクを渡しながら言っていたのは、
弱いあたしが嫌いだったからなんだと今になって分かった。



「でもね、陽はお母さんと一緒に行けないの」

『え?どうして…』

「陽がすぐ泣いて弱いからよ。強い女の子になったら来ていいからね、陽」

『ほんと…?』

「ほんとよ、約束」

『分かった! 陽、強くなる』



そして、
あたしは施設に入った……