意味が分からない。



お母さんを奪った……?



――“俺んち再婚だから”

“再婚”


あぁ、
そうゆうこと?


『苺ミルク作ってくれるお母さんって……』

「ごめん、陽」

『あははっ』
訳分からなくて…
ううん、
理解したくなくて笑いが込み上げ、
脱力感で思考が止まる頭に




「あら、悠翔じゃない」
残酷に響く声……
その声の主を見るのが恐くて振り返れない。

「…母さん」

「次、お父さんの学校と試合なんでしょ? お母さんは悠翔を応援するからね!」
あたしが聞いたことのないような明るい声で悠翔に話し掛ける

あたしの
……お母さん



悠翔はそっとお母さんから見えないようにあたしを後ろに隠そうとした。
それはきっと悠翔の優しさなんだろうけれど…今のあたしにはその優しさを素直に受ける事も出来ずに悠翔を突き飛ばした…

その瞬間、
お母さんと視線が重なった。

お母さんから視線を逸らされるのも…
あたしを見て顔を歪めるのを見たくなくい

あたしはお母さんを一瞬睨んで

『最悪』

そう呟いて背を向けた。
走らずに…なるべくゆっくり歩き体育館に向かう。

――ただの意地とプライド、
“あたしは強い”そう自分に言い聞かせながら