「……」
『悠翔?』
あたしは俯いて何も言わない悠翔が心配になり表情を見るために覗き込と
――バンッ
あたしは体育館の壁に抑えつけられた。
みんな帰ってしまって誰もいない静かな体育館にあたし達二人の呼吸の音だけが聞こえる
「陽…明日、頑張るからキスして」
あたしの手首を抑えながら低く呟く。
『……ッ! …い、いたいよ』
「キスなんか安いもんなんだろ? いいよね」
いつもの悠翔じゃない――
そう思った瞬間……
唇に柔らかい感触を感じた。
乱暴にあたしの手首を抑えつけてるくせにキスはこれ以上ないんじゃないんかってぐらい優しい…
息が上がってきて空気を求めて口を開くと
待っていました、とばかりに悠翔の舌が入ってあたしの舌を絡めとる。
『んっ…』
あたしの声に悠翔が一瞬ビクッとふるえて唇を離した。
『ハァ、ハァ…』
乱れた息の音が
虚しく響いた