しばらくして悠翔は少し切なそうな顔で
「練習戻ろっか」
と言ってあたしの手を優しく握って体育館に戻った。
あの日のことを考えるとモヤモヤしていた気持ちが少し晴れる。
でも、だからと言って悠翔との関係が変わるわけもなく…数日が経た。
休日だけど、
10時から全日練習がある。
自主練をしようと家からランニングをしながら7時に体育館に着くと…
いつもは静かな体育館からドリブルの音がする。
不思議に思いながら体育館のドアを開けると――
「おせぇよ、陽!」
悠翔があたしに手を振るのが見えた。
「俺ら自分専用メニュー終わったぜ?!」
得意げに言う准の後にすかさず
「どうせ寝坊だろ」
剣夜があたしには目も向けずに呟く。
「俺らを変えるんだったら遅刻しちゃダメだな」
剛さんがあたしに笑いかけ
「これから俺が陽ちゃんに毎朝モーニングコールしてあげようか?」
浩平から相変わらずのセリフと
「陽ちゃん、おはよう」
将さんが爽やかにあたしにお茶を渡しながら挨拶……
夢でも見てるのだろうか?