『カッコ悪…逃げてんじゃねぇよ』
威嚇するように呟くあたしに体育館中がシーンとする。


「あんたさぁ」
剣夜が指でボールを回しながらあたしに近寄ると冷たい目であたしを睨み

「惨めな思いしたことある? 誰にも期待されない…って思いしたことあるのかよ? ねぇ、だろ? 期待されてるヤツなんかに俺らの気持ちが分かんのかよ…」
嘲笑うかのように口の端を少し上げた。


『分かんないよ』

「じゃぁ、二度と」
『分かんないけどっ!…』
剣夜の言葉が終わる前に被せて叫ぶ。

『そんなに期待して欲しいなら、期待してやるよ!』

「は…?」

『期待が足りないって言うんだったら期待する』

「……」
「やってらんねぇよ」
剛さんがそう呟くと、
体育館からみんなを連れて出て行ってしまった。