「……勝ちてぇよ」
小さくて力ない声で剛さんは答える。

『聞こえません』

「勝ちてぇに決まってんだろ!!! 負けてぇヤツなんかいるわけねぇだろ?! 俺たちの事なんも知らねぇくせに偉そうに言ってんじゃねぇよ!」

怒鳴り散らす剛さんからあたしは目を反らさない

『知りません。今日会ったのに知ってる訳ないじゃないですか』
と、はっきりした声で言う

「……」

『何で勝ちたいのに勝とうとしないんですか?』

素直な疑問は
剛さんを傷付けたのだろうか?

「俺らが勝てる訳ねぇよ…」

見た目には想像も出来ない程、弱々しい言葉と声が耳に届いた。