『やべ、しんど』
俺が呟いた一言に陽がピクリと反応した。
「“しんどい”“無理”が勝ってるなら辞めなさい」
真っ直ぐに射抜くような視線から逃れられない…
俺の中途半端な“そこそこでいい”という気持ちが陽には見抜かれているようで、自分が恥ずかしくなって目を反らした。
『俺…』
「大丈夫。拓ならデキるよ」
『え…?』
『何で俺の名前知ってんの?』
って言葉は名前を呼ばれたドキドキに遮られた。
「あたしが君をいい男にしてあげる」
バスケットボールを抱きながら花が咲くように可愛く、子供のように無邪気に笑う陽を見て……これが“初恋”なんだって思った。