「あッ! 剣夜おかえり」
天使のような笑顔で陽が出迎えてくれるが

『こ、の…靴は?』

動揺して…
笑顔で返せない。

「あぁ! 言ってなかった? あのね…バスケ部の子達が夕飯食べに来てるの。今日は剣夜の好きなすき焼きだよ」
楽しそうに話す陽と

『あ……うん』
そう答えるしかない……俺

やっぱり何か情けない。



俺の腕を引いてリビングに行き
「あたしの愛する旦那さんが帰ってきたよ~」
と生徒に俺を紹介する陽に少し心が解れる。

「「「おじゃましてます」」」

元気よく挨拶する姿を見て昔の自分達を思い出す。



生徒の中でも1番生意気そうなヤツが俺を見てビックリしながら
「マジで陽の旦那って唯選手だったんだ」
と言った。


…………待て待て
“陽”ってなんだよ。
何生徒のくせに呼び捨てしてるわけ?

と内心イライラしながらも表情に出さないように気を付ける。

生徒に嫉妬とか…
情けなくて泣ける。