ふと視線を感じて観客席に目を向けると、


目があったのは
お母さんだった………

涙を流してあたしを見つめるその瞳はまさにいつも友達が母に向けられていた視線…
羨ましいかった“母親の目”だった。


あたしはお母さんに小さく手を振ると
一瞬目を見開き驚いたお母さんがゆっくりとあたしに手を振り返す……
不意に笑顔がこぼれた。










    あたし今、
     幸せだ。


     初めて


   あなたの子供で


    産まれてきて


    本当に良かった


    そう想えた……