『何、市総体ぐらいで喜んでるんですか!! 言っときますけど市総体ですぐに負けたりしたら許しませんからね?!』
「「「……は~い」」」
すぐに笑い声に包まれる和やかな雰囲気に笑みがこぼれた。
……あれから悠翔とは最低限の会話しかしていない。
でも、
あたしの勘違いでなければ何回も目が合う
その時の悠翔はいつも泣きそうで悲しみに満ちた目をしているのに。
勇気がないあたしは声をかけることもできない―――
悠翔は笑わずにあたしを射るように見つめる…
あたしはその視線に気付いてはいるけれど絡めることは出来なかった。
「陽」
『ん? 何?』
急に剣夜が顔を近付けながら囁く
「忘れてない??」
『え?! あたし会場に何か忘れ物した??』
焦り出すあたしに剣夜はふっと真面目な顔になって、あたしの唇を親指でそっと触れながら甘い声で…
でもハッキリとみんなに聞こえるように
「キス」
と言った。