『剣夜??』

「なぁ……前、言ってたのまだ有効か?」

『え?』

「試合の……ヤツ。……キ、ス?」

『…あははッ』

最後のキスの言葉が小さくて少し笑うと、

ムスッとして少し睨むように見る。


「真面目に聞いてる」
顔を真っ赤にして目線をそらした。


あたしは何だかこんなにも男らしい剣夜が子供みたいに拗ねている姿を見て、
すごく暖かい気持ちなった。


『いいよ……キス。その代わり、絶対に勝ってよね?! 3ヵ月後には大事な大会があるんだから』

「当たり前」

いつものクールな顔に戻って微笑む剣夜はやっぱり綺麗だ…

「……よかった」

『ん?』

「笑ってくれて……泣くのは見たくない」

剣夜に言われて気が付く。
さっきまで悠翔のことで泣いてたのに今は笑ってる…ってことを――

悠翔の顔が消えていたってことを――