一気に空気が凍りついた。
「悠翔、お前ふざけんなよ?」剣夜が低い声で唸る
「は?」
「お前…さんざん陽を泣かせやがって」
「……」
「あげくの果てに陽と別れたからって自暴自棄になって他の女でまぎらわすんか?」
『剣夜……どうしたの?』
らしくない剣夜に思わずびっくりしてあたしは覗き込む
すると、
そこには泣きそうで…
すごく苦しそうな表情があった。
見たことないその表情は綺麗な剣夜の顔だからこそ胸を締め付けられるような儚さがあって、あたしは思わず息をのんでしまう―――
剣夜の震える指がゆっくりとあたしの頬を撫でた。
「お前…もしかして」
悠翔の言葉に剣夜は透き通った声で
「好きだ」
と言った。
この真っ直ぐな目で射抜かれて目を逸らせる子は居ない気がする……
『え』
「お願いだ。もう、泣かないでくれ」
悲痛に響くその言葉には剣夜の心が詰まっていて、
何故か涙が出そうになった。