あたしは一心に走った。
“あたしらしく”…そんなのどうしたらいいかなんか分からない…
でもここで立ち止まってしまったら駄目な気がしてただ一直線に走った。
英語準備室のドアの前になって初めて冷静になる…
『どうしよう……悠翔が他の人を抱いてるとこなんか見たら死んじゃうよ…』
そう思った瞬間に涙が出てきた。
ドアの前に立ちすくんでいると急に
「ふざけないでよっ!!!」
と叫ぶ女の人の声がしたかと思うと
――バンッ
勢い良くドアを開けた音が廊下に響いた。
出てきた女の人はドアの前にいるあたしを睨み付けて出て行く。
女の人とすれ違う瞬間に
奥にいる愛しい人と
視線が絡み合った。
「は、…る?」
『悠翔ッ!!』
やっと会えた――…